
ジェンダー・ギャップ革命
第6章 異性愛者差別
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多情に不倫、野外露出、乱交、パートナーの交換に、近親相姦、親子どんぶり。…………
現代日本で白昼堂々実行すれば白い目で見られる行為でも、それらが絵画の主題になれば、後世まで珍重される傑作になる。
鑑賞する客達も、見よう見まねの評論や蘊蓄を披露して知識人を気取ってみせるが、その実、生真面目に写実された女の腰や尻の曲線、ほのかに浮かんだ筋、血管に、性的興奮を覚えるものだ。
美しいものを鑑賞する習慣は、目を肥やす。
そうした尤もらしい迷信を、生徒達に講義して、英真は淫らで愉快な絵画展を心ゆくまで堪能した美術館をあとにした。
「英真様のカルチャースクールは、知見を深められます。今日の絵画もどれも美しくて……『ロトの娘達』をテーマにした作品なんかは私達に関係ありませんけれど、よく考えると、英真様は今日鑑賞した行為もほとんど現実に体験されていますから、美を極めておいてですわ」
「有り難う、相手が異性だと、本当に性的倒錯になってしまうからね。それに現実は聖書と違って、素晴らしい医療があるから、あの父娘は、私、父親に子宮を植えつければ良いのにって笑いそうになったわ」
