
ミニチュア・ガーデン
第4章 幸せへの崩壊
彼を刺激しないためなのか、刑事は女性で、しかも小柄で細かった。看守は彼の両脇に待機し、注意深く観察する。
刑事は慎重にファイルから写真を取り出し、彼に見せる。
「教えて。これは貴方がした事じゃないでしょ?」
彼女は言い、彼の反応を窺う。
写真に写っているのは、切断された死体だ。浴室に所狭しと並べられた体は一人ではなく、複数あり、おびただしい量の血液に浴室内は赤茶に染まっている。
彼の歩く事もままならないであろう体を見て、単独犯ではない、もしくは冤罪の可能性を疑っているのだろう。それは当然だ。今の彼はそれほどまでに痩せているのだから。
「死なせて……」
だが、彼の口からは哀願の言葉しか出ない。写真も見えていないのか、無反応だ。
刑事は、駄目か、とため息を吐き、次の写真を取り出して見せる。今度のは家族写真だ。あまり裕福そうではないが、仲の良さそうな雰囲気が滲み出ており、一番小さな少年の誕生日を祝っている様子が、なんとも幸せそうだ。
「……良い人だった」
彼はその写真に反応を示し、伸ばそうとした手を手錠に阻まれた。
「そう、良い人達よ。特にこの子、貴方にパンをあげたでしょ? どうして殺したの?」
彼女は中央の少年を指して尋ねる。
刑事は慎重にファイルから写真を取り出し、彼に見せる。
「教えて。これは貴方がした事じゃないでしょ?」
彼女は言い、彼の反応を窺う。
写真に写っているのは、切断された死体だ。浴室に所狭しと並べられた体は一人ではなく、複数あり、おびただしい量の血液に浴室内は赤茶に染まっている。
彼の歩く事もままならないであろう体を見て、単独犯ではない、もしくは冤罪の可能性を疑っているのだろう。それは当然だ。今の彼はそれほどまでに痩せているのだから。
「死なせて……」
だが、彼の口からは哀願の言葉しか出ない。写真も見えていないのか、無反応だ。
刑事は、駄目か、とため息を吐き、次の写真を取り出して見せる。今度のは家族写真だ。あまり裕福そうではないが、仲の良さそうな雰囲気が滲み出ており、一番小さな少年の誕生日を祝っている様子が、なんとも幸せそうだ。
「……良い人だった」
彼はその写真に反応を示し、伸ばそうとした手を手錠に阻まれた。
「そう、良い人達よ。特にこの子、貴方にパンをあげたでしょ? どうして殺したの?」
彼女は中央の少年を指して尋ねる。
