クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第7章 バルケシルの炎 〜イスタンブール編
ラーズたち4人はイスタンブールからフェリーで内海のマルマラ海を渡って、バンドルマから車を使ってバルケシルまで足を伸ばしていた
「係留はされているが、何かが運び込まれている様子も無いな、周りはあいかわらず警戒態勢だ
奴らも手を焼いてるんじゃないか?」
ラーズは双眼鏡を覗き込みながらパンを頬張った
「我々の情報では火器を使った報告は受けていない、まだ中とアクセス出来てないんじゃないか?」
レヴァンもパンをつまんであたりを警戒する
「あれだけデカい兵器なんだ、無人ってことはないだろう? いったいどうなってる?
大気圏突入までしてきて燃え尽きずに減速して地表までやって来たんだ、中に大量のモビルスーツを積み込んでるんじゃないのか?
ってことは、月のアナハイムの新兵器とか?」
ラーズは面白く無さそうだ
あまり月の軍事企業にいい印象がないらしい
「どうする? このあたりの村はトルコ軍の子飼いばっかりだろ?すぐに見つかってしまいそうだな
テントは用意してあるが?どうする」
バンドルマの港町で協力団体からいくつかの支援は受けている
車やテントも彼らが用意してくれたものらしい
「テントを張るならここの丘の反対側だな
で、こっちは監視用の小さなテントを張ろう
カモフラージュさせて、交代で見張るんだ」
「わかった、準備しておく
ここは任せた」
レヴァンは岩肌の斜面を駆け上がっていった
ふたりとも濃いめのベージュの迷彩柄のポンチョをまとっていたので斜面に吹き付ける風をなびかせていた
「………さてと、すぐに動きがあるかな?」
ひとり残ったラーズは大きな岩の陰にタープを張って日差しを避けながら再び双眼鏡を覗き込んだ
そして数時間前にイスタンブールの旧市街へ繋がる橋で一瞬垣間見た人物を思い出していた
“……あれはどうみても〈チャイルド〉だよな
そしてあの後ろにいた大人はきっとどこかの組織だろう、またどこかでクローンが作られたって事だな”
やはり西洋と東洋が混じり合う場所トルコのイスタンブールは交錯する場所なのだろう
ラーズはイヤな予感がしていた
大気圏を突入して降下してきた未知の巨大な物体
それをかっさらっていったトルコの黒海警備軍
その〈ゼントリックス軍〉の将たるハルフォード提督
見つめる先は謎だらけだった
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