クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第12章 薔薇の谷 編
フェニックス級ゾーナタ
数年前のグリプス戦役、そして第一次ネオ・ジオン抗争の頃に活躍した大型飛行母船ガルダを模した〈空飛ぶ要塞〉
ガルダ級と呼ばれたそのずんぐりとしたシルエットだがもともとは輸送飛行船であったがその特異な航続距離を活用して戦時中は移動前線基地としてさまざまな陣営で活用されたものだ
ガルダ、アウドムラ、スードリ、メロゥドはその華々しい活躍とともに激しい戦火のなか戦場を飛び交い、そして墜ちていった
その後ガルダ級よりひと回り小さなミドルクラスの〈フェニックス級〉が次々と建造され、そのコストパフォーマンスの高さから新たな移動要塞として稼働していく
北欧連邦軍のゾーナタ、
英国民間組織のグリメット城、
そしてトルコのゼントリックス軍は幼将エミリー・バリーが母船としてイビザを使用していた
黒海沖の晴れた空に北欧連邦軍のゾーナタがゆっくりと移動していく
その下部には巨大な物体が吊り下げられている
カタストロフマシーン〈ストーム〉は巨大さゆえゾーナタの格納庫にはとうてい入りきれず牽引されているのだ
この戦艦並みの巨体を牽引するとあってゾーナタのエンジンは常に悲鳴を上げている
早急にトルコ海域から脱っし、連邦側のブルガリア領へ戻りたかったのだが沿岸はトルコのゼントリックス軍を警戒して沖での移動を余儀なくされているのだ
このような荷物を吊り下げた状態では戦闘は避けたく、また唯一操作経験のある少女ローズでも完全にコントロール出来ているとは思えない状況なのであった
ゾーナタのメカニックマン、システム担当のガブリエラ、そして暫定パイロットのローズが数時間かかりっきりになって〈ストーム〉の解析にあたっている
ローズは未知な操作に不安を抱きつつも、まるで自分のために作られたかのような妙なフィット感を捉えつつあったのだった
“このマシーンは何のために作られたのだろう?まるで私のため、いえ私たちのために作られたかのような感覚があるわ……
いったい誰が??? 何のために??
カプセルに眠らされてるあの子たちも私と同じようなクローンのようだったけど、あの子たちは何のために眠らされていたんだろう……”
ローズは自分の手のひらを見つめ、自分の出生の意味を、そして自分自身の存在の意味を見出そうとしていくのだった……
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