クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第9章 黒海海戦
ラーズとローズのふたりが談笑しながらカフェテリアルームでコーヒーを飲んでいるところにガブリエラがひとりでやって来た
ガブリエラはラーズたちのテーブルから2つばかり離れた席に座ろうとするのでラーズが声をかける
「おい、クレア……じゃないガブリエラ!
よそよそしいぜ?こっちに来いよ!?」
「クッキーもあるよ!」
ローズが菓子の乗った皿を突き出す
「ごめんなさい、ふたりが楽しそうにしてたからお邪魔かなと思っちゃった」
ガブリエラは苦笑いしながら席を移動する
「ジャマなもんか!特にオレたちは同じファミリーネームになった仲なんだ、他人行儀はなしだぜ?」
「そうね、ありがとうラーズ、ローズちゃん
そうよね、わたし無意識に自分からお客さん扱いしてるのかも、気をつけるわ」
「それがいい、特にオレたち3人はこの艦じゃあよそ者だからな、オレたちだけでも結束しとかないと舐められちまう」
「そーなの?みんな優しいよ?」
不思議そうな顔をしてローズが見つめる
「そりゃおまえは子ども扱いされてんのさ!」
ラーズが茶化して少女の頭をポンポンと叩く
“……このふたりホントに仲が良いのね、出会ったのが数日前だなんて信じられないわね……、
それにしても、この女の子……、ホントにキアラにそっくりだわ……、
まるでスコッティとキアラのようね
アガルムの街で逃亡生活してたのがついこないだのようだけど、ずっと遠い昔のようにも思える……”
見つめられていたローズはガブリエラの気持ちを見透かしたように話しかけてきた
「ガブリエラ、新しい仕事の調子はどう?
コールドスリープの子たちの事なにか進展はあった?」
「えっ? えぇ、やっぱりカプセルはロックされていて外部からのアクセスを拒否してるの
デフォルトの設定が組み込まれているみたい
おそらくマシーンをコントロールするためにひとりづつ目覚めるのかもしれない……
そして今はローズちゃんがパイロットとして生体キィが登録されたのかも……」
「わたしはオルタナティブ・キィってことね!
あの子たちの代替品、合い鍵扱いみたい」
ローズは他人事のようにケラケラ笑っているが、ガブリエラには笑えなかった
失われたキアラたち
あの子たちとの時間に代わりはないんだけどな、とやりきれない気持ちになっていた
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