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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第9章 黒海海戦


ゼントリックス軍5大女将軍の一翼、ジョー・ディビーズ率いる“ベンジェンス隊”は逃走した謎の兵器を追跡、戦闘となっていた

「ジョー将軍ッ!アイツには武器がまったく効きませんぜ?ビーム兵器も実弾バズーカも何も受け付けない!どうしますッ!?」


副長のトム・アーロンは機体を旋回させながら標的の上部を飛行している

部隊が使用しているモビルスーツはドライセンをカスタムした空中戦闘に特化していて、その容姿はまるで“鳥”だ


頭部は鳥のくちばしのように尖り、背中には巨大な羽根が後付けでドッキングしている
彼らはこの改造ドライセンを「ヘリオン」と呼んでいた


伝説の機械仕掛けの怪鳥だ


「アビーとの戦闘データ通りね、ヤツには見えないバリアーが張り巡らせてあるみたい
 それも強固なヤツがね!」


男勝りな印象のベリーショートな将軍ジョーは予想通り苦戦していた

「アビーにはキツイ言い方だけど、もう少し戦闘データが欲しかったわね」

親友だからこそ彼女の死を無駄にはしたくなかった


「仕方ない、例のやつそろそろ到着するんじゃない?見えた!?」


はるか上空を飛んでいる副長のトムは遠くの水平線を見定める

そこにはボスポラス海峡を渡ってきたであろう巨大なタンカーが浮かんでいた


「悪いな、お前さんに恨みはないがたまたまこの戦場の近くに居たのが運の尽きだったんだ」


トム機は部下のヘリオン機数台と基地から同行させていたフェニックス級の中型輸送機をタンカーに向かわせ、強襲した


民間のタンカーであろうが、空から襲ってくるモビルスーツとフェニックス級の飛行船に無ずすべもなく船は強奪された


「デイブ!さっさと乗組員を降ろさせろ!コイツを浮かせてあのバケモノにぶつけてやるぜッ!!」


「副長、本当に良いんですか?
 これは戦争なんかじゃない、強奪だ」


「あのバケモノにはコレしかないんだ、
 お前もロジャーの機体が突っ込んだとき、ヤツのバリアーの修復が間に合わなかったビデオを見ただろう?
 姉さんはこの石油タンカーごとぶつけようって言ってるんだ!
 モビルスーツとはわけが違うぜ?」


「将軍の考えてることは狂ってるよ」


数台のモビルスーツ「ヘリオン」とフェニックス級の飛行船は石油タンカーを吊り下げ、上空に舞い上がっていった……


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