
止まない雨はない
第7章 ドルフィンリング
「山口クリニック」へと続く階段を上りながら、タカシはさっきまで歌っていた鼻歌をやめた。
診療時間をとっくに過ぎても、まだ灯りがついている。タカシは電子カルテの整理に夢中になっているルカの背を、パーテーション越しに想像出来た。
熱心なお医者様だこと…。
タカシはプレゼントの入った小さな紙袋を無造作に手首に引っ掛けたまま、
パーテーションからにょっきりと顔を出す。
…未だ、ルカは自分には気付いていない。
「先生!いい男を出前しに来ましたよー!」
やっほー!などと、聞こえるように邪魔をしたタカシの声に、一瞬ビクリとしたルカが振り返った。
「やだなー、タカシさん。居るなら居るって言ってください」
驚きつつも、ルカは嬉しそうな顔をした。
「……ん、邪魔しちゃ悪いでしょ?」
「……え?今のは邪魔したことになっていないのですか?」
コドモっぽいタカシのいたずらに、ルカは噴き出す。
「……なぁ、ルカ、オレ、渡したいものがあってさ…。その……あんまり笑わないでくれるかな」
緊張した面持ちで、タカシはそのまま小さな紙袋をルカにそっと渡した。
「頂いていいんですか?……嬉しいな、開けますね?」
ゆっくりとルカは包みを開いていく。少し細長い、深めのケースが包みから出てきた。
診療時間をとっくに過ぎても、まだ灯りがついている。タカシは電子カルテの整理に夢中になっているルカの背を、パーテーション越しに想像出来た。
熱心なお医者様だこと…。
タカシはプレゼントの入った小さな紙袋を無造作に手首に引っ掛けたまま、
パーテーションからにょっきりと顔を出す。
…未だ、ルカは自分には気付いていない。
「先生!いい男を出前しに来ましたよー!」
やっほー!などと、聞こえるように邪魔をしたタカシの声に、一瞬ビクリとしたルカが振り返った。
「やだなー、タカシさん。居るなら居るって言ってください」
驚きつつも、ルカは嬉しそうな顔をした。
「……ん、邪魔しちゃ悪いでしょ?」
「……え?今のは邪魔したことになっていないのですか?」
コドモっぽいタカシのいたずらに、ルカは噴き出す。
「……なぁ、ルカ、オレ、渡したいものがあってさ…。その……あんまり笑わないでくれるかな」
緊張した面持ちで、タカシはそのまま小さな紙袋をルカにそっと渡した。
「頂いていいんですか?……嬉しいな、開けますね?」
ゆっくりとルカは包みを開いていく。少し細長い、深めのケースが包みから出てきた。
