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止まない雨はない

第7章 ドルフィンリング

「マスターのやつ、絶対怪しいぞ!ルカ先生って人がいながら、きっとキャバクラ・リーブスのおねぇちゃんか誰かにプレゼントするつもりに違いないって!?」

鳴海はまるで自分の恋人に浮気でもされたような勢いで、商品の山に隠れながらタカシを睨みつけた。

「…まだ、わからないんじゃない?案外、自分のかもしれないし」

佐屋はわりと冷静に事の次第を見届けようとしている。

「…ったく、佐屋は育ちがいいからかお人好し過ぎるって!!
ぜってー許せねーからな!オレが今から行って企みを阻止してやるっ!」

鳴海が飛び出して行こうとしたとき、佐屋が慌てて彼の襟首を掴んだ。

「シッ!静かにして、鳴海!もう少し近寄って何を話しているか、確かめてから問い詰めても悪くないよ?」

二人はそっと物陰から物陰へと移動し、タカシと店員の会話が聞き取れる距離まで近づいていった。

「……記念だってわかるような…ですか?タカシさんも難しい注文するんですねぇ」

「…そこをなんとか頼むよー?オレが贈ったってバレない感じで、そんでもって≪ステディリング≫って判りそうなのがいいーんだよ…な、頼むよ青葉ちゃん」

ほら!やっぱり!!

二人はタカシの≪ステディリング≫という言葉に敏感に反応した。

「……名前とかイニシャルがモチーフじゃダメなんですか?」

「……そんな安直なヤツじゃセンスないでしょー?もー、直球なんだから、青葉ちゃん…」

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