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恋人は社長令嬢

第1章 素敵な出会いにはご用心

「あ~あ、今日は、どこに泊ろうかな。」

梨々香は駅前に立ち並ぶ、ビジネスホテルを、次から次へと素通りする。

「壱番館は、いつも泊ってるからパパに通告するし、弐番館はサービス悪いからダメ。」

今度は道路の向かいに、視線を移す。

「参番館は、ママの庭みたいなものだから、いづらいし……」

梨々香は、少し離れたホテルを見た。

「やっぱりこういう時は、五番館か。」

意気揚揚と、カバンを振りまわしながら、横断歩道を渡り、まさにホテルの正面玄関に、立った時だった。


「ふう~ん、ここが君の家?」

隣を見ると、別れたはずの瞬が、立っている。

「そんなわけないよね~。」

かなりの白目で、自分を見ている。


「赤間さん!!帰ったんじゃ!」

「誰かさんが心配になって、引き返してきた。」

「ウソ……」

「ウソだったら、今ここに立ってるか!」

突っ込む感じで瞬が横を向いたら、彼女の目はキラキラ輝いていた。

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