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スミカ

第1章 105号室

そもそもなんのセールスなんだ?
世間話だけで、一向に本題に入らない。
人を馬鹿にしやがって…


「…いや、もうどうでもいいし」


俺は冷蔵庫から3本缶ビールを出すと、怒りに任せて飲みほした。


「そうか……じゃあ昨夜のハイヒールの音はフィリピン女たちの仕業なんだな……」


幽霊じゃなかったことに心底安心し、俺はそのまま目を閉じた。


「……ん……」


尿意で目が覚めた。
俺はあちこちの壁に体をぶつけながらトイレに向かった。ドアのノブを回すが、なぜか鍵がかかってる。


「……あ?」


俺は寝ぼけながら、ロックを解除した。
扉を開けると、生暖かい空気が全身を包んだ。


「…あれ…」


便座がない。
なにかおかしいと思ったら、俺が開けたのはトイレのドアでなく、玄関のドアだった。


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