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もう離れられない~年の離れた弟と~

第1章 弟の気持ち

急にそんな事を言ってきて、どうしたのかと思った。

「ところで、用事は何?勉強の事?」

すると新太は、私をベッドに押し倒した。

「きゃあ!」

「大きな声、出さないで。両親に聞こえる。」

豹変した新太が、突然男の顔をし出した。

「好きだ、姉貴。」

見降ろされた真剣な瞳。

「この日を待っていた。」

「この日って?」

「俺、今日誕生日なんだ。」

「嘘……」

だって、夕食は何も祝う事もなかった。

「両親とも忘れているだけ。でも、そんなのはどうでもいいんだ。」

自分の誕生日を、どうでもいいと言うだなんて。

「そんな寂しい事言わないで。」

私は、新太の顔を両手で包んだ。

「誕生日おめでとう、新太。」

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