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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 54 不完全燃焼的な燻り

 ようやく青春の、心残りの忘れモノを取り戻すことができた…
 ついに長年の想いが完遂できたのだ。

 私ときよっぺの付き合いは紆余曲折あったのだが、都合、三年半の期間の関係であった。
 初めての出会いは私が中学一年生、きよっぺは中学三年生、そして最後に別れた時は私が高校二年生で、彼女が大学一年生であったのだ。
 まさにその時間はお互いに子供から大人の入り口の時期、そして思春期真っ盛りの時期、時間といえる。

 その二人の過ごした時間を大人になった今に振り返ってみると、本当に恥ずかしくなるような子供の、稚拙な付き合いと出来事の積み重ねといえるのだ…

 だが…

 そもそもの初めての出会いと付き合うきっかけの夜にキスを、ファーストキスから始まったのである。
 だから、その性の、性衝動についてはもちろんきよっぺ主導なのだが、速かったのだ。

 まだ周りの同級生は中学生であるから、当然の様に付き合いといえば交換日記や、公園デート、またはせいぜい映画鑑賞等で、手を繋ぐくらいが精一杯レベルであったのだが、私達二人はいわゆる手や、口唇での愛撫等により快楽を既に貪っていたのである。

 しかし…

『赤ちゃんが出来ちゃうから…』
 そう言う彼女によって、本当は二人ともセックス、性交、挿入、というモノに興味津々であったのだが、とうとう別れる最後まで私達は未通、未性交、未挿入で終わったのであった。

 だから…

 つまり…

 この青春の、心残りの忘れモノ…
 とは、このセックス、性交、挿入の事なのである。

 彼女との思い出は、本当に青春の甘酸っぱい匂いの漂う、良い思い出なのであるのだが、ただ、思い出せば出す度に、この未性交、未挿入が心残りとして常に思い浮かんでくるのであったのだ。

 そしてその想いは、そんな彼女とのまるで反抗期の一部の様な心の抗いの想いと当時に、後悔に近いセックスの想いとして浮かび、不完全燃焼的な燻りをずうっと感じていたのである…

 だがこの不完全燃焼的な燻りの想いも、今夜、こうして、ようやく完遂できたのだ。

「あふ、こ、コッペぇ…」
 
 おそらく、彼女も同じ想いを抱いていたはずであろう…

 この目に溜めた涙が、それを物語っている…





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