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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 111 8月11日月曜日午前8時半

 美冴さんとの約束は、この大通りにあるレンタカー屋前に午前9時であった。
 だが僕は、朝イチからソワソワとしてしまい、約束の30分前の午前8時半に来てしまっていたのである。

 今朝は朝から薄曇りであり、気温も連日の猛暑と比べると比較的過ごしやすい気温といえた。
 そして僕は待っている間にレンタカー屋の陳列しているクルマを眺めながら、借りるとしたらどれが良いか、と、思いを巡らせていたのだ。

「あら…
 おはよう、早いのね…」
 と、後ろから美冴さんのハスキーな声がして、ハッと振り向いた。

「あっ、おはようございます、少し早く着ちゃいました…
 あ…」
 
 そこには黒い女神が微笑みながら立っていた…

 薄い開衿の黒いレースのブラウス、そして開衿の襟元からはやはり黒いキャミソールが覗いている、そしてややフレアの膝丈のやはり黒いスカートに、限りなく透明な艶やかな光沢の黒いストッキングに、低めのヒールのパンプスを履いていた。

 うわぁ、なんて艶気なんだ…

 お墓参りだから喪服、もしくは黒系の服装だとは予想していたのではあるが、喪服ほど地味ではなく、かつ、派手ではない、やはり昨夜同様、限りなくドレッシーな服装といえる。

 それに…、やっぱり若く見える…

 どう見ても30歳、もしくは28、9歳にしか見えない…

 そして僕も一応、お墓参りを意識して、黒いポロシャツにダークグレーのチノパンを履いてきたのだ。

「どうしたの?…」
 僕があまりの美しさに見とれていると、そう声を掛けてきた。

「あっ、い、いや、あまりにも綺麗なんで…」
 と、本当のことを話してしまう。

「まあ、嬉しいわ、でも、今日の和哉もなんとなく大人っぽくて素敵よ」
 と、褒めてくれたのである。

「あ、そ、そうですか…」

「うん…大人っぽいわ…
 あっ、そうだ…」
「えっ…」

「昨夜はごめんなさい…
 わたしが悪かったわ…
 今日は…ちゃんとするから…」
 と、突然、謝ってきたのだ。



 ちゃんとするからって…

 どういう意味なんだ…





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