テキストサイズ

シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 91 再びの…

 「えっ…」

 僕は慌てて、帰ると告げる美冴さんの手を握ったのだ。
 すると美冴さんは、僕の目を見つめてくる。
 そして僕には、その目が揺れている様に見えていた。

 まだ、チャンスはあるかも…
 その揺れている様な目を見て、そう僕は思ったのだ。

 粘れば…なんとかなるかも…

 そして握る手に力を込める。

 あっ、目が泳いでいる…

 そうだよ、帰るかどうか、まだ、迷っているんだ…

 よしっ、粘れるぞ…

 僕は、今夜を逃したらもうチャンスは二度と無い、そう思い、粘る事にした。

 どうすればいいか…
 そう必死に思いを巡らせながら、握っている手に力を込め、離さないアピールをし、美冴さんを見つめる。

「か、和哉ぁ…」
 美冴さんが本当に迷っている様な震える声で僕の名前を呼んだ。

 あっ、そうだ、ストッキングだ…

 また、さっきみたいにストッキング脚に触れさえすれば…

 絶対になんとかなるはずだ…

 僕はそう思い、玄関の方を向く美冴さんの手を引っ張る。

 ベッドに倒しちゃえば、なんとかなるかも…

「あん、か、かずやぁ…」
 美冴さんが軽くよろけた。

 
 ♬♩♪♩♪♬♪
 ブッ、ブッ、ブッ…

「あっ…」

 その時であった…

 今度は『夢の国』のキャラクターである、蜂蜜が大好きな黄色い太ったクマのテーマソングが短く鳴ったのだ。

「あっ、うっ…」
 僕の手の力が一瞬にして緩み、抜けていく。

 あっ、しまった、まただ…

 電源を切っておくべきだった…

 まさか、ダメ押しでメールが来るとは…
 これはメールの着信音のメロディであったのだ。

 それも真実専用のメールのメロディなのである…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ