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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 77 五年間の愛情の想い

 もう楔の抜けてしまった和哉の心は、歯止めが効かなくなっていた。

「み、美冴さんっ」
 そう小さく叫び、わたしを抱き締めてきた、そしてキスをしようと和哉自身の顔を近づけてくる。

「あっ、んん…」
 わたしは逃げなかった、いや、逃げる事ができなかったのである。

 わたしが和哉を誘った様なモノなのだ…

 いや違う、完全にわたしが和哉を誘惑したのだ…

 それも、偶然の和哉のストッキング脚に触れた手の平の感触程度で、わたしは簡単に欲情をし、淫乱のスイッチを入れてしまったのである…

 そして、せっかく和哉の心に楔を打ち込み抑えていた彼の欲情の想いを、その程度の偶然の出来事で自分勝手に欲情し、その昂ぶりにより再び楔を引き抜いたのだから…

 だから、和哉の欲情を責める事など出来やしない、出来るわけがないのである。

 もしも…

 もしも、この流れで和哉の唇から逃げる様な事をしてしまったならば…

 それは…

 それは、この再会を…

 再会した和哉を…

 全否定するという事と同じなのだ…
 と、わたしは咄嗟にそう脳裏に想い浮かべたのである。

 もうこれ以上…

 和哉を傷つけたり、迷宮に彷徨わせてはならない…

 メスの思考に支配されていながらも、わたしは必死にそう考え、思ったのである。

 ズキズキズキズキ…

 だが、そんな想いも、あっという間にメスの欲情の、ストッキングラブの淫乱な思考に覆われてしまう。

 そしてわたしは、まだおそらくは濡れた、メスの欲情の、妖艶な目の輝きのままに、和哉の目を見つめ、唇を受け入れていくのである…

 和哉の指先によるストッキング爪先の愛撫にカラダが蕩け、そして受け入れた五年振りの唇の感触に、心が震えていく。

 ああ、和哉ぁ…

 和哉の五年間の熱い想いと、わたしに対する愛情が、交わす唇から怒濤の如くに流れ込んできたのである。

 もうわたしを、いや、わたしと和哉の欲情の衝動を止める事は出来ない…

 二人の間にそびえ立っていた五年間の空白の壁が、音を立てながら崩れてきたのだ。


 そしてわたしの脳裏には、五年前の真夏の夜の夢の様であったあの禁断の熱い痴態が、激流の様に浮かび上がってきていた…








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