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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 94 母親と姉

「そ、そうなんだぁ…
 でもさぁ、○○○商事株式会社っていったらさぁ、一流会社だよねぇ」

「うん、多分…超一流…」
 と、わたしは他人事のように呟いた。

「ふぅぅ、なんか、信じられないわねぇ」
 姉はため息をつきながら、そう言ったのである。

「わたしにも、いや、わたし自身にも…
 なんだか、他人事のようで、急展開過ぎで…
 まだ、信じられないでいるのよ…」

 だが、それが本音であったのだ。

「まだ、この急展開に、わたしの心が追いついていないのよ…
 だからこの9連休で心を整理し、落ち着かせようかなってさぁ…」

「ふぅぅん…
 でもぉ、今日は、朝帰りじゃなくて、夕方帰りってぇ…
 そっちの方も復活したみたいじゃないのぉ…」
 と、姉特有の、チクリとした嫌味を言ってきたのであった。

「あ、いや、それは、そのぉ…」

 そんな、姉の急なツッコミに、思わず動揺してしまったのだ。

「ま、なんにしてもさぁ…
 先週迄はさぁ、アンタはさぁ、死人みたいな顔してたからさぁ…
 なんにしてもさぁ…
 まあ、とりあえずよかったわよぉ…」
 と、姉は、しみじみと呟いてきたのである。

「あ、うん、ご、ごめん…」

 そうなのである、本当にこの約二年間、母親とこの姉の二人には本当に色々、心配と、迷惑と、心労を、掛けてきたのだ。

『ま、とりあえずよかったわよ…』

 これが母親と姉の二人の心からの、本当の本音の声であった。

 本当にごめんなさい…
 わたしは心でそう呟いたのである。

「あ、美冴おばさんちぃーす」
 すると、突然に、リビングの奥から甥っ子の康徳くん『やっちゃん』が、ひょいと顔を出して、挨拶をしてきたのだ。

「あっ、やっちゃんもいたんだ」
「あ、うん」
 と、返事をしてきた。

「そうよ、ちょうど今、お母さんと私と康徳の三人とで、康徳のバイトしているファミレスにご飯食べに行こうって話してたところなのよ…
 だから、アンタ、美冴も行こうよ」
 と、誘ってきたのだ。

「あっ、うん、じゃあ、わたしも行くわ…」
 と、軽く返事をしたのだが…


「あっ…」

 わたしは、ふと、気付いたのだ…







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