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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 85 真実の存在感

 そんな背景があるから、この真実は見た目の派手さとは別に、しっかりとしているのである。
 そして僕には真実のそんな面が自分とは真逆で、だからこそ彼女に惹かれてしまっているのだ、と、思っていた。

 なにしろ彼女と一緒にいると、なぜか楽、気楽なのである…

 だからといって全てをやってもらっているわけではないのだ。
 僕は大学生であり、もちろん彼女は弁護士事務所で秘書という聞こえは良いが、意外にも激務な仕事をしているから、こうした逢瀬的なデートも多くても週末に逢う程度であり、平日はほとんど逢った事がない。
 もっとも真実と逢わない平日は、美冴さんとの叶わぬ再会を願ってのファミレスでのバイトにほとんど固執しているから、彼女的にも安心なのであろう、あまり平日に逢う事は求めてはこなかった。

 だが、週末に逢う程度の、この僕達のような若い年代的には少ないといえるような日々にも真実は一言も不満や、文句の類は一切なかったのだ。
 ま、たまに、昨夜のようなコンドームの中の精子の量等の話しをしてくる位ではあるから、彼女なりに僕を秘かに観察はしているのだろうが、僕自身には全く感じないし、影響もないし、プレッシャーもない、逆に一緒にこうしていると楽なのである。

 全て甘えている訳ではないのであるが、とにもかくにも気楽で、楽で、楽しく、不満は全く無いのであった…

 だからそんな真実を、彼女を大好きだし、愛している、という秘かな想いも実感しているのだが、どうしても美冴さんという存在感が僕の脳裏からは消えないのである。
 いや、この大学に進学し、この場所で生活する、この僕自身の存在価値そのものの起因が美冴さんという存在感のせいであるのだから、当然、脳裏から消えないのは当たり前なのである…
 のだが、一昨夜の当然の再会に状況は劇的に一変したので`ある。

 山は動いたのだ…

「ねぇ、このお盆中にはやっぱり実家は帰らないのぉ…」
 実は、まさか美冴さんと再会するとは思ってはいなかったのだが、なんとなく自分自身の中で美冴さん問題をこの夏休みまでに決着を付けて、頭の中を切り替えしたいと考えていたから最後の足掻き的な問題、つまりは

 夏休みの期間中のバイトのシフトを増やす…

 できるだけファミレスにしがみ付く…




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