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シャイニーストッキング

第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長

 99 初めての友達

 実は…わたしは驚いていたのだ、なぜなら、わたしの口からこんな言葉が出るなんて、とても今まででは考えられないからである。

 やはりわたしは変わってきているのだ…
 普通の女になりつつあるのだ…
 彼の、大原浩一本部長の愛のお陰で…

 そしてもう一人いる…
 
 こうしてわたしの本音を引き出してくれたこの蒼井美冴さんのお陰でもあるのだ…

 いや、この蒼井美冴さんも、愛なのかもしれない…

「だから、わたしと、お友達になってください…」
 わたしは感極まってきていた。

「ゆ、ゆかりさん…」
 美冴さんも昂ぶっているようである。

「こんなわたしでよかったら…」
 そう囁いてくれた。
 そしてわたし達二人の目からは、同時に感涙の涙が落ちてくる。

「み、美冴さん…」
「ゆ、ゆかりさん…」 
 わたし達二人はベンチに座り、感涙し、見つめ合いながら手を握り合う。

「わたしね…」
「わたしは…」
 わたしは嬉しくて…

 一緒にお茶したい…
 ご飯に行きたい…
 買い物に行きたい…
 映画に行きたい…
 カラオケに行きたい…
 旅行に行きたい…
 夜中に電話で話したい…
 そして恋バナをしたいの…
 思わずハイテンションで一気にそう話した。

「う、うん…」
 このハイテンションにやや驚きながら
「うん、いいよ…」
 でも直ぐに、こやかにそう云ってくれたのだ。

「ほ、本当っ、嬉しいです…」
「でもなぁ…」
 不意に呟いてきた。

「えっ」
「でも、一緒に旅行に行ったら…」

 うん…

「夜、襲っちゃうかも…」
 そう、微笑みながら云ったのだ。
 素敵な笑顔である。
 再びその笑顔に魅了されてしまう。

「わたしも、もっとゆかりさんの、いや、ゆかりのこと…
 知りたいなぁ…
 昔の、そう、学生時代の頃とか…」

 ドキッとしてしまう…

 学生時代…
 わたしの過去の消し去りたい黒歴史。

 でも…
 でもこの美冴さんになら…
 美冴になら…

「うん、そのうちに…」

 話してみたいかも…


 こうしてわたし達は友達になった…

 いや、なって貰ったのであった…

 台風接近の影響による、やや強い生暖かい風が、サーッとわたし達二人の頬を撫でていく。

 この夜…

 わたしに…

 初めての友達ができたのである…






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