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シャイニーストッキング

第16章 もつれるストッキング5  美冴

 91 美冴の苛立ち

「ぁ……み、みさえ……」
 美冴の突然涙を見て、私は一気に動揺してしまう。
「……………」
 そう、美冴はタバコの火を見つめながら、無言で涙を零していた。

 え、な、なんだ、なんで…
 
「ぁ…み、みさ…え……」
 この涙の意味がわからない…
 だが、無意識に…
「あ、い、いや…す、すまない…」
 慌てて美冴の肩を抱き寄せ、そう呟いたのだ。

『すまない……』
 あまりの昂ぶりにより美冴の象徴であるストッキングを引き裂き、そして心を壊してしまった、いや、堕ちる程に責めてしまった…
 一瞬にして、そんな思いを浮かべ、そう無意識に呟いてしまった。

 だが美冴はそんな私の呟きに…
「……え、な、何で……」
 鼻を啜りながら、肩を抱いていた私の手を払い退け、睨み…
 苛立ちの声音で問い返してきたのだ。

「え…あ、いや……」
 え、違うのか?
 心が騒つく。

「え、な、何で、謝るのっ」
 すると語気を荒げ、苛立ち…
「すまないって…なに?
 何でわたしに謝るのよっ」
 それは苛立ちを越え、怒気といえる声音。

「あ、い、いや、そ、それは……」
 私は言葉が詰まってしまう。

 そして、キッと私を睨み…
「あぁ、ホント情けないわっ
 そう、本当にみっともない…
 そんな謝る相手が違うんじゃないのっ…」
 更に声を荒げてくる。
 
「まずはさぁっ………」
 だが、そう叫んだ途端…
 なぜか睨む視線を外し、一瞬目が泳ぎ、揺らいだ様にも感じた。
「…………」
 そして横を向き、黙ってしまったのだ。
 
 え、な、なんだ…
『ホント情けない』
『本当にみっともない』
 その言葉が胸にグサリと刺さり…

『まずはさぁ………』
 で、一気にゆかりへの罪悪感が沸き起こってきてしまう。

 やっぱり、私は、取り返しのつかない愚行を犯してしまった…
 激しい絶望感に飲み込まれてしまう。
 
「……………」

 だが…
 突然…
 怒りに荒げていたはずの美冴が…

「え?」
 スッと、私の左肩に寄り掛かってきて、顔を上げ…
 涙で濡れた目を向けてきたのである。



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