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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 66 敦子の想い(3)

 あの憧れの『ゆかりお姫さま』初めてに出会ったあの頃のわたしは…
 少し生意気で、イケイケなギャルを卒業気取りのまだ青臭いマセガキであった。
 
 そして親の勧め通りのミッション系のお嬢様高校に進学して昼間はマジメに振舞い、夜は一転して塾に通うフリをして、当時の遊びの主流であるディスコ通いを覚え…
 そこで少しばかり可愛いからと周りにチヤホヤされながら、横浜界隈で調子に乗って遊んでいたのだ。

 そんな時に…
 ゆかりお姫さまと出会ったのであった。

 初めての、あの夜の出会いは衝撃的であり…
 忘れられない夜ともなったのだ。


 あの夜は横浜のディスコシーンでナンパされたメンバーに誘われ…
『渋谷のクラブCANDY』
 に連れて行かれた。

 いや、元々、地元の横浜界隈には飽きてきていて、あの頃話題でもあった渋谷デビューを゙果たしたかったから…
 そして、あの頃はイケイケで、有頂天になって調子に乗ってもいたから、後先の事なんて考えもしなかったから… 
 そんなナンパされたメンバーにも拘らずに、誘われるままにホイホイと渋谷へと出掛けたのであった。

『うわぁ…』
 その渋谷のクラブCANDYは…
 あの頃のわたし、つまり、まだ15歳のわたしには大人の世界のディスコシーンに思えたのだ。

 わたしの通っていた横浜のディスコシーンでは、仲間で和気あいあいと踊っている様な感じであったのだが、このクラブCANDYではお立ち台があり、そしてその上で自分自身の美しさに自信満々な、いや、そんな美しさをアピールしてくるボディコンを身に纏った女達の…
 いいや、まるでそんな美女達の争いの場、ディスコシーンに感じられたのだ。

 そしてそのお立ち台の上には一見して序列が、美の序列がある様にも見え…
 とても高校生の元ギャルのガキの出番では無いとも思え、驚き、また、衝撃も受けていた。

 わたしは横浜生まれの横浜育ちなのに、まるで、田舎から出てきた子供、ガキに感じてしまう程に感じてしまっていたのだが…

『あ…』

 そんな感じでお立ち台を眺めていると…
 その中にひときわ輝いて見える、いや、まるで女王様然とした存在に見える女に気付いたのである。

『うわぁ、な、なんて凛々しいの…』

 そしてただ凛々しく美しいだけでは無いのだ…

 


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