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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 51 伊藤敦子(17)

「はい…
 だって、わたしはあの頃から…」

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 ウズウズウズウズウズウズウズウズ…

「ぁ……」

「ひ、姫、ゆかり…姫に憧れていたんです…」

「ぁ…ぁぁ……」

 そう伊藤さんは囁きながら、わたしの顔を両手で押さえ、キスを、いや、わたしの唇を吸ってきたのだ。

 ぁぁ…

 このキスに心が一気に…

 そう、まるで氷が熱いお湯を掛けられたかの様に…

 蕩ろけ、溶ろけ、融ろけていく…

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 ウズウズウズウズウズウズウズウズ…

 そして高鳴り、昂ぶり、疼いてきた。

「あの頃の…
 お立ち台に、あのお立ち台の中心に立って…
 ボディコンのワンピースにテカテカ光沢ストッキングを穿き…
 常に周りに男達を従っていたあの『姫』いや『ゆかり姫』に…
 ずうっと憧れていたんです…」

 伊藤さんは耳元で、そんな全盛期のわたしの正に『黒歴史』の…
 健太曰く、あの頃の天下無双状態のわたしのことを囁いてくる。

「ぁ…あぁ…あ、あれは……」

「あの頃から、もう『姫』が眩しくて…
 本当に憧れていてぇ…」
 伊藤さんは更にそう囁きながら、唇を、舌先を吸ってきた。

「あ、あぁ、そ、そんなぁ…」

 そしてそのキスに、わたしの心とカラダがどんどんと…
 融ろけてしまっていくのだ。

 いや、このキスが堪らなく快感なのである…

 そしてまたこのキスは…

 本当は、無意識に…

 わたし自身が心の奥底から求めていたキスであるのかもしれない…

 だって、なぜならば…

 わたしは先の、二度程の、一人慰めのあの夜に…

 あの絶頂感の最後の瞬間に、この伊藤さんの、ううん、敦子さんの美しいこの顔を…
 そして妖艶な目を一人勝手に想い浮かべながら…
 絶頂感を迎え、イッてしまっていたから。

 心の奥深くに彼女への想いを隠していたのではないのか…

 いや、隠していたからだ。

 初めて伊藤敦子さんを゙見た瞬間から、わたしは彼女を…

 求め、欲していたのかもしれない。





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