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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 40 伊藤敦子(6)

「正にゆかり部長の大学三年、四年の二年間は…
『唯我独尊、天下無双』
 つまり、美人過ぎて、周りに敵無し状態という感じであったと…」
 そう武石健太は得意気な顔になって語り始めてくる。

「それは、その勢いは凄かったですからぁ」

「うわぁ、やっぱりそうだったんだぁ」
 と、美冴さんがそんな健太の言葉に食い付いてきた。

「ば、バカ、健太、何そんな昔の話しをしてくるのよっ」
 わたしは一瞬、健太が調子に乗って昔の『黒歴史』の話しをしてしまうのでは無いのか?と、焦ってしまう。

 だが、違った…
 それは杞憂であった。

「あ、いえ…
 だからそんなゆかり部長の事を身近に見てきてそう感じたからぁ…

 ほら、伊藤さんも物凄い美人さんだから、学生時代はやっぱりせはんな感じだったんじゃないのかなぁ…って?」
 そう言って、話しをまとめてきたのだ。

「え、あ?…」
 伊藤さんはそんな健太の突然の振りに、返事に窮してしまう。

 いや、多分、ズバリだったのだと、わたしも思ってしまっていた…

「い、いや、そ、そんな美人ってぇ…」

「あ、ち、違いますよ、セクハラとかじゃないですよ…
 ただ、見たままで…」
 健太は慌てて言葉を付け足す。

「うん、でも伊藤さんは本当に美人さんだし、ううん、ホント物凄くキレイで…」
 そう美冴さんが言うと…

「い、いや、そんな、美冴さんやゆかり部長こそ…」
 伊藤さんはそう返してきた。

「だから、つまり、オレの言いたい事は…
 そんな美人さんだからこそ…
 そんな『唯我独尊 天下無双』状態に
知らず知らずのうちに陥ってしまってぇ…

 気付くと友達関係が希薄になっちゃっていたんじゃないのかなぁ?って…」

 そう健太は自分の意見をまとめてきたのだ。

「あ…う、うん?」
 伊藤さんは戸惑い気味にそう返事をしてくる。

 そしつなわたしは無意識に美冴さんの顔を見て…
 いや、美冴さんと視線が合い…

「そうかもね…」
 と、思わず呟いてしまったのだ。

「うんうん…」
 そして美冴さんも頷き…
「そうよね、伊藤さん、学生時代、すごくモテたでしょう?」
 そうも言ってきた。

「え、あ、そ、それは…」
 その伊藤さんの戸惑い気味の応えは決して否定的では無くて…




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