
シャイニーストッキング
第10章 絡まるストッキング9 美冴とゆかり
142 心配と苦労と…
蒼井家の先祖代々の菩提寺は実家から徒歩で約15分の処に在る。
「美冴がさぁ、お盆のお墓参りに来るのは何年ぶり?」
お墓参りの帰り道に、姉が大汗を掻き、歩きながらそう言ってきた。
「え…、あ、うーんとお盆のお墓参りは離婚してからだから…
だから…3年振りかな…」
「そうかぁ…3年振りかぁ…
て、ことは、もう3年近く経つ訳なのかぁ…」
姉はそう呟いてきた。
もう3年近く…
とは、わたしが『黒い女』となってからを云っている。
「うん…、正確には2年半だけど…」
「ま、どっちにしても良かったわ…」
姉はわたしを上から下まで見てそう言ってきた。
「そうね…」
すると今度は、提灯を手にしている母親が頷く。
「あ、うん…ごめん…」
本当にこの母親と姉には心配と苦労をかなりかけてしまったのだ。
胸が痛い…
「でもさぁ、戻ったのはいいけどさぁ…」
再び姉がわたしを上から下まで眺めながら呟いてくる。
「ホント、突然の変わり様よねぇ…
ついこの前まではさぁ、全身上から下まで真っ黒けだったのにさぁ、これだもんねぇ…」
姉特有の毒舌気味の嫌味が始まった。
「あ…」
上から下まで…
お墓参りだから派手にならない様に濃紺地に小さな花柄模様の木綿布地のワンピースを着ていた。
「そして連チャンの朝帰り…と、いきなり色々と復活してねぇ…」
鋭い嫌味である。
「あ…いや、それは…」
どうにも反論は出来ない。
「ま、仕事もちゃんと復活したみたいだし、お母さんがそれでいいって云ってるからさぁ…」
わたしはその姉の言葉を聞いて、慌てて母親を見ると…
ニコニコと微笑んでいた。
「あぁ、それにしても暑いわねぇ」
姉は汗を拭きながらそうぼやく。
お母さん…
わたしは本当にこの2年半という間、大変な心配と苦労と心労をかけてしまっていた。
でも…
もう大丈夫…
わたしは戻ったから…
ううん、いや、生まれ変わったから…
これからはもう…
心配かけない…
かけないようにします…
わたしは、いつの間にか小さくなった母親の背中を見ながらそう心で誓う…
「で…、美冴さんは今夜もお出掛けなのかしら?」
そして、姉特有の嫌味は聞き流していく…
「いいわねぇ、お盛んで…」
蒼井家の先祖代々の菩提寺は実家から徒歩で約15分の処に在る。
「美冴がさぁ、お盆のお墓参りに来るのは何年ぶり?」
お墓参りの帰り道に、姉が大汗を掻き、歩きながらそう言ってきた。
「え…、あ、うーんとお盆のお墓参りは離婚してからだから…
だから…3年振りかな…」
「そうかぁ…3年振りかぁ…
て、ことは、もう3年近く経つ訳なのかぁ…」
姉はそう呟いてきた。
もう3年近く…
とは、わたしが『黒い女』となってからを云っている。
「うん…、正確には2年半だけど…」
「ま、どっちにしても良かったわ…」
姉はわたしを上から下まで見てそう言ってきた。
「そうね…」
すると今度は、提灯を手にしている母親が頷く。
「あ、うん…ごめん…」
本当にこの母親と姉には心配と苦労をかなりかけてしまったのだ。
胸が痛い…
「でもさぁ、戻ったのはいいけどさぁ…」
再び姉がわたしを上から下まで眺めながら呟いてくる。
「ホント、突然の変わり様よねぇ…
ついこの前まではさぁ、全身上から下まで真っ黒けだったのにさぁ、これだもんねぇ…」
姉特有の毒舌気味の嫌味が始まった。
「あ…」
上から下まで…
お墓参りだから派手にならない様に濃紺地に小さな花柄模様の木綿布地のワンピースを着ていた。
「そして連チャンの朝帰り…と、いきなり色々と復活してねぇ…」
鋭い嫌味である。
「あ…いや、それは…」
どうにも反論は出来ない。
「ま、仕事もちゃんと復活したみたいだし、お母さんがそれでいいって云ってるからさぁ…」
わたしはその姉の言葉を聞いて、慌てて母親を見ると…
ニコニコと微笑んでいた。
「あぁ、それにしても暑いわねぇ」
姉は汗を拭きながらそうぼやく。
お母さん…
わたしは本当にこの2年半という間、大変な心配と苦労と心労をかけてしまっていた。
でも…
もう大丈夫…
わたしは戻ったから…
ううん、いや、生まれ変わったから…
これからはもう…
心配かけない…
かけないようにします…
わたしは、いつの間にか小さくなった母親の背中を見ながらそう心で誓う…
「で…、美冴さんは今夜もお出掛けなのかしら?」
そして、姉特有の嫌味は聞き流していく…
「いいわねぇ、お盛んで…」
