ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
「じゃあ、俺がついていくけど?」
そ、それは勘弁してほしい。
咄嗟にそう思って、ギクシャクと言葉を詰まらせる。
「そ、それは……ちょっと……」
もごもごするわたしを見て、吹田先生はわたしで遊んでいるようだった。
「冗談だよ。なんか傷つくからはっきり断ってよ。じゃあ誰と?」
「あ、あの……えっと……その……」
もごもごと口籠る。
これ以上吹田先生を待たせたら、外出許可自体がなかったことになりそうだから、思い切って声を振り絞った。
「よ、……陽太先生……が……いい、です」
にんまり、と音が出るくらいに吹田先生が口角を上げる。
「ん。わかった。じゃあ今週の土曜ね。デートの案内しとく」
「で、デート?!って!!」
一瞬で、外出許可がデートに成り変わり、めまいがするようだった。
恥ずかしさで目の前がチカチカする。
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