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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く






「いいんだよ、のんちゃん。どんなのんちゃんだって、悪く思ったりしない。もっと頼ってよ。吐いたっていい。苦しいところ見せたっていいんだよ」





背中を撫でる力がいっそう強くなる。

陽太先生の、全部受け止めてくれる強さが、そこにはこもっていた。


「……っ。よた……せんせっ……」


涙に嗚咽が混じる。
苦しかったのだ、この5日間。
陽太先生に会えなかったこと、傷つけたかもと心配したこと……そして、強さを増していく治療のこと。
その全てがぐちゃぐちゃになって、心に押し寄せたから。


「いいんだよ、迷惑かけたって。全部、気にしなくていい。」


陽太先生が、冷えて震えるわたしの手を握る。




「大丈夫、大丈夫」





まるでおまじないのように、ずっとそう言い続けてくれた。
まるで、小さい頃のように。






陽太先生に抱かれて泣きじゃくったあの頃を、ずっと思い出していた。




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