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ほしとたいようの診察室

第6章 回想、はじめまして


「ちっくんは、のんちゃんの体の味方になってくれるんだ、味方ってわかるか?」


「わかんない」



ふるふると首を振るのんちゃん。まだ絆創膏のアンパンを、丸くなぞって見つめていた。




「こっち見て、のんちゃん」



のんちゃんが、言われたようにまじまじと俺の目を見る。
いっぱい泣いたまんまるの瞳が、不思議そうに、でも興味深そうに揺れていた。


「のんちゃんの体を、病気から守ってくれるんだよ。血を採れば、のんちゃんの体の様子がわかる。体に入れる時は、どうしても痛いけれどな。痛いだけで、悪いやつじゃないんだ。ほんとーうに悪いやつは、のんちゃんのここ、見えないところにいて、のんちゃんの体にいたずらするんだよ」



人差し指で、のんちゃんの胸の真ん中を突いた。いっぱい泣いた目で、のんちゃんがその指を見つめて、自分の胸を触った。


「ふーん……」


のんちゃんは、少し考え事をするように唇を尖らせる。




「……ゆうせんせも、のんちゃんのみかた?」





思いもよらぬ返事に、こちらが舌を巻く。
のんちゃんは、そうやって理解して考える力がある。


「うん、そうだ。のんちゃん、かしこいな」


そっと頭を撫でると、ちょっと照れたように笑う。……多少、機嫌が治ったようだ。



「じゃあ、また寝る前に来るから。お洗濯の絵本、ちゃんと持ってきといてな」


もう一度頭を撫でると、のんちゃんは早速絵本を用意しようと動き出した。





よし、今日は上手く立ち直れたな。とほっとする。





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