
ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
「了解。処置室空いてるから、運び込んでもらって。輸液とモニターの準備。それから……」
38.5度の発熱。診察中に熱性痙攣(ねつせいけいれん)を起こして、小児科の医師に声がかかった、というところか。
日曜日は小児科外来を休診にしていたが、当直明けで仕事を山ほど抱えていた俺は、まだ医局に残っていた。
すぐさま、運び込まれた子どもの対応にあたる。救急外来から回されたカルテに、詳細が載っていた。
星川のぞみ。4歳4ヶ月。
早産児、喘息の既往あり。
熱性痙攣は、乳幼児期によく起こるもので、珍しいことではない。
しかし、その裏に重篤な病気が隠れている可能性がないとは言い切れない。
「痙攣、1度止まって、小児の処置室に運ぶ途中に、もう一度起きているそうです。意識障害出てます」
2年目の看護師、叶恵さんとともに処置室へ急ぐ。
「まずいな、急ごう。脳症じゃないといいが」
