
ほしとたいようの診察室
第5章 プリンを作ろう
「叶恵さん、これ取って」
涙目でお願いしてみるけれど、
「診察終わったら、取ってあげるからね」
もちろん、取ってもらえない。
言いながら、叶恵さんがテキパキと診察の器具を準備し始める。
……なんか、いつもより物多くない?
怖くなって目を逸らすと、今度は大海先生がにっこりと笑う。
「逃げなくてえらかったね」
手袋をはめながら、大海先生が言う。
「逃げられないです……こんなの」
直前に吹田先生が来て、「具合どう?」って聞いたかと思ったら、わたしの腰にベルトみたいなの付け始めて……。
ベッドに体を固定されてしまったのだった。
『大海先生の診察もあるから、終わるまでこのままでいて』
って有無を言わさず去っていったのだった。
おかげで身動きはとれないし、腰が痛い。
診察終わったら取ってくれるんだろうけど……。
