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副業は魔法少女ッ!

第3章 ガラスの靴の正体は






  会社の前にタクシーを停めてもらった。

 ゆいかがなずなを連れて降りると、帰路を引き返してきた明珠と鉢合わせした。



「わざわざ戻ってきてくれて有り難う。ごめんね」

「ううん。なずなちゃんのことは気になってたし、また会えて良かった」


 明珠が極上の爽やかな笑顔を向けると、なずながおずおず頭を下げた。


 二階に上がってすぐの小会議室は、寝具やアメニティを積んだワゴンがところ狭しと並んでいた。

 あのあと、なずなを帰らせるわけにも連れ帰るわけにもいかなかったゆいかは、明珠に連絡した。ウェブページのチェックや取引先とのチャットでまだ会社にいるはずだった彼女は既に業務を終えたあとで、それでも戻ってきてくれた上に、場所まで提供してくれた。

 今はほとんど倉庫になっている小会議室は、バスルームがないのを除けば、他社から送られてきたサンプルや店舗からの返却物で、寝泊まりには不足なさそうだ。ストレッチ用のマットを広げてクッションを置いた明珠が、紙袋からサンドイッチやドーナツを出して並べていった。


「ゆいかの部署に、電子ケトルあったよね。スープ飲む?」

「欲しい。なずなちゃんは?」

「あ、有り難うございます。すみません、夕飯は済ませたので……」

「そうなんだ。じゃあ二人分ね。明珠、スープは用意してくるから、なずなちゃんをネカフェに連れて行けない?シャワーは交代で行けると思うんだ」

「それなら今、◯◯はお客さん少ない時間帯だから、借りられるか訊いてみるよ」

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