
副業は魔法少女ッ!
第3章 ガラスの靴の正体は
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一週間離れていただけで、慣れ親しんだ学校が、ゆづるとは無関係の世界に変わり果てていた。
高校生という肩書きと、未成年という年齢を除けば、ゆづると同世代の彼らは、概ね大人と変わりない。
善良で健全な物質だけで構成されたような校舎と、着崩すことが禁じられた制服。それらに保護されているか否かで、世間は世間の都合から、彼らを大人か子供に呼び分ける。
ゆづるも、今は子供と呼ばれるべき保護下にいる。鉄筋の校舎と同じ、不自由に塗り固められた学校は、眩しいほどぬくぬくしている。同じ制服を着た同級生らは、綺麗だ。一度くらい夢見が悪かったとしても、無料でサスペンス映画を観てきたくらいに考えるのだろう。
「うぜぇ、また広告」
今日最後の授業までの小休憩で、ゆづるのいるいわゆる仲良しグループの顔触れの一人──…龍弥がスマートフォンをスワイプしながら、顔を顰めた。不揃いに伸ばした金髪は、所どころにブラウンのニュアンスが混じっており、本来、紺色の地味な学生服には不釣り合いだが、ゆづるを除く一同が皆、制服は既に改造を施したあとのため、アッシュも赤髪もシルバーアクセサリーも、大人びた少年達のお洒落心に見える。
