
副業は魔法少女ッ!
第2章 魔法少女の力
「明日から一週間、休ませてもらいます」
「掛け持ちの方?」
「はい。もし生きて戻れたら、お祝いして下さいね。皆さん」
「縁起でもない。私が見た限り、ゆづるくん今、貯蓄たくさん残ってる」
「良かった!ならまだまだ稼げます、なつるさん!」
ジョークにしては聞き流しがたい、不吉な言葉とは不釣り合いな気色を顔に張り付けて、ゆづるが事務所を出て行った。
「ゆづるくんの掛け持ちって?」
「高校生以上に汚れていないゆいちゃんは、知らない方がいいと思う」
「危ないことですか」
なつるは、やはり言葉を濁した。魔法少女の力をどう使うかは、他人に干渉出来ることではないから、と言い添えて。
午後は、例に漏れなくゆいかは明珠と会う約束をしている。何となく街を散策したい気分に背中を押されて、予定より早めに出ていて良かった。
知り合ってまもない高校生がリスクを伴う仕事に関わっていたところで、ゆいかに負う損害はない。結局、なずなに関する相談もし損ねたまま、明珠の待つ駅へ向かった。
第2章 魔法少女の力──完──
