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刑事とJK

第47章 謎のおじさん



「まあ確かに、そんな名前で呼ばれていた時もあったね」



『斉藤、染谷って?』


ゆうひはクイクイッと斉藤の服を引っ張った


「ちょいと前に有名だった、IQ220の大天才だよ」



『え!!??』


ゆうひは声が裏返った



「斉藤君、そのことは認めるからさ…染谷とは言わないでおくれよ」



「…わかったよ、オッサン」




斉藤は物差しを仕舞い、岩崎の横に座った



「でも、なんであんたみたいな大物が、食い物に困るような状況にあんだよ?」



「何年も前に、大学教授は辞めたんだよね。
辞めざるを得なかったのかな?」



岩崎はお茶を飲んだ



「…ふとしたことで、メディアに取り上げられてからは…そりゃ忙しかったよ」



「…だろうな」



「そのうちに、海外からもたくさんのオファーがあった…でもね、ダメだよ
みんな考えることは一緒だった。
武器、兵器、その他もろもろ…より高性能なものを作りたいがために、みんなが僕の頭を狙った」



「…」



「苦しかったよー、決断を迫られた時なんかは特にね
だけど僕は、そんな殺戮兵器を生み出すために自分の知能が使われるのは嫌だったから、行方を眩ませたんだよ」




『おじさん…』




「まあそれは過去の話だ
今はさ迷い人の岩崎だ」




「…オッサン、いい奴だったんだな」



斉藤は薄く笑った




「見た目からしていい奴でしょう、僕って」




「ああ、違いねぇ」



「よし、これで食事代は勘定できたかな。
ごちそうさまでした」



岩崎は手を合わせて部屋を出ていこうとした


「…どこ行くんだ?」



「またフラフラしに行くよ。
お腹が空いたら、現れようかな」


『その時はあたし、なんでも作るよ』




「…ありがとうね」




岩崎は、それはそれは優しい顔をした




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