
一途とは 続編
第2章 受験
捻り上げるように鳴く蝉も気付くと鳴いておらず、なんだかしゅんとなるような、人肌恋しくなる季節がやってきた。
物哀しいような、寂しさを感じる大気のにおいがする。
この時期に一番思い出すのは『源氏物語』だな
もののあはれ…
最も日本人が忘れてはいけない感性
私は全く受験のエンジンはかからなかった。
化学、生物、数学にはそれぞれ三人の先生が必須で、生物、数学は吉岡tと山口tが教えてくれていたが、化学は池田tという人が教えてくれていた。
池田tは20代後半なのに、大学生でもまだいけそうなくらい好青年な雰囲気で、いつも笑顔だった
怒った顔は見たことがない
私がテスト前に化学を全く勉強せず、やばい!!と言っていたら、土日に何時間も自習対応してくれる、生徒思いの先生だった。
この三人はいつも一緒だった。
山口tはこの中でも一目置かれている存在で、吉岡tも池田tも尊敬している人物であった。
なんせ、東大模試は全国1位だったことがあるらしく
全くの初見の化学の問題を解いていたりした。
センター試験は全て満点だったが、大学は東大へは行かず、期末のテストを取れば大学に行かなくて良いという、一番楽な大学に行ったらしい。
「別に、東大なんて行く必要無かったしね」
なんて言ってたー
大学の授業を受けなくてもテストで高得点取れるということは、大学レベルの数学は分かっているということで
本人、海外に行った方が良かったんじゃないの?って思うよね
大学では遊び尽くしたらしい。
学校帰りに塾へいつも通り行き、山口tと雑談を交えながら勉強して、帰る。
帰りはいつも22時頃だったかな?
理系が私に向いていないことはよく分かっていた。
私は完全に文系脳だ。
国語の古典漢文現代文は得意科目であったし。
私はこの後、重大な決断をするのであった。
