
一途とは 続編
第1章 りょーやと
「じゃあ、夏期講習最後の授業を始めまーす」
「はーーい」
山口tは相変わらず不健康そうだ。
夏期講習の最後は、もうほとんどの先生たちが死にそうな目をしている。
塾の台所に空のレッドブ○がシャンパンタワーのように置かれてあったのは流石に驚いた…
ここの塾は、自分の睡眠時間をも削って生徒たちに教えてくれる先生が多い。
山口tなんてその代表的な存在である。
覚えているのは、休みが無いこと。
一応休憩というものはあった。けど、その時間は別の生徒の自習対応に全て費やしていた。
毎日9時から22時まで、働き続けていた。
前に、なぜそこまでして生徒に教えてるの?と聞いたことがあった。
『自分が少しでも未来へ大切なことを教えられるようにです。
それが、一番なんです。』
多分、こんな風に言って口先だけの人はいっぱいいると思う。でも山口tはそれを自分の命を削って体現している人の一人だった。
本当に、命をかけてしている仕事にしか見えなかった。
そうだ、前に山口tの元カノの話を聞いたんだよね。
そのことを、少し話そうかな。
とても、聞いていて辛いお話。
