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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第5章 勇者光邦

「チョット、あんた私になんか恨みでもあるの?」

光邦がチョットの方へ歩み寄ると、腕を振りほどかれたイワハシが、「お前の相手は俺だ」と光邦の首根っこを掴む。

光邦は「今は、あと」とイワハシの腕を掴む。

『グキッ』

鈍い音とともに、イワハシの表情が歪む。

「ぐぁぁぁぁぁぁ……」

左腕を押さえながらイワハシは膝をついた。

チョットが、手を光邦に向ける。

「勝者、みつくにっ!」

「やかましいわっ!」

思い切りチョットをぶん殴る。

チョットは緑の液体を口から飛ばし、白目をむいてうつ伏せに倒れた。

納得いかないのが、イワハシだ。

「おい! チョットさんよ、話がちがうじゃないかぁっ!」

「どうしたのよ」と痛がるイワハシを心配そうに見つめる。

「寄るな! なんなんだてめえ」

「なにもしてないわよ! あんたが勝手に痛がって膝をついたんじゃない」

「ふざけるな! お前の力、化け物じゃねえか!」

「どうするのよ、相撲取らなくていいの?」

「こんな状態でとれるかぁぁっ」

光邦は、なぜこの大男が痛がっているのかわからない。

「こ、これが光邦の力なんですよ」

口を緑色にして、チョットが起き上がる。

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