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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第5章 勇者光邦

チョットは、適当な大きさの円をつま先を引き摺りながら描くと、真ん中に光邦とイワハシを向かい合わせた。

光邦はイワハシの巨体に圧倒され、思わず身を仰け反らす。

「相撲とるだけでしょ? 横綱と入門生くらいの差があるわよ」

「つまり、俺が入門生か」

「あなたが横綱よ。あのさ、文字数多い方が強いってわけじゃないの」

チョットはルールを説明する。

「光邦は、相手を倒すか押し出すかすれば勝ち。イワハシさんは、相手をボコボコKOにして……」

「ちょっと待て」と光邦。

「私をボコボコって、あれに本気でやられたら私、跡形も残らないわよ」

「大丈夫です。全力でいけと伝えてます」

「それ、相撲やないがな」

「光邦、わざと負けないでくださいよ」

「心読むんじゃないわよ」

チョットの号令と共に、二人は組み合った。

「ほらぁ、無茶苦茶重いじゃなぁ~い」

光邦はイワハシの革のパンツの両端を掴み
、体を密着させる。

イワハシは1ミリを動かないまま、ガッツリと光邦の腰に手を回す。

「チョットさん、こいつぶん投げていいのかい?」

「潰してやってください」

「お前なに言ってるの!?」と光邦はいとも簡単に、イワハシの腕をほどいた。

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