
仔犬のすてっぷ
第2章 出会い
「ーーーおい。お前」
コレがアイツの第一声だった。
(昨夜の状態だから・・・
食べられる状態かどうかは分から無いけど……)
彼くらいの年頃なら、大概食べ盛りだ。
もし、彼が体に異常が無ければ、朝は結構食べるんじゃなかろうか?と考えて。
朝食を二人分準備しているところへ
«ノソっ»
とやって来て……
不機嫌そうに話しかけてきた。
「あ、起きたんだ?体は……」
「お前、俺に何をした?!」
・・・は?
「それとも、俺がアンタに何かしたか?」
・・・はい??
起きて来て、聞くのはソレか?
……まあ、目が覚めたら、知らない部屋に寝かされていて……
勝手に着替えられてたら、そういうリアクションになるかもしれない、か、な?
「悪いとは思ったけど、勝手に着替えさせてもらったよ?
キミ、雨でぐしょ濡れだったし」
「……雨?!」
…まあ、気を失い、体を拭いても目が覚めなかったくらいだから、雨で濡れてしまった事は覚えてないっていうか、気が付けないか……。
「覚えて無いのかい?
キミは、ウチの前で倒れてたんだよ?」
「イヤ……覚えてねぇ……」
彼は頭をゴリゴリ掻きながら、バツが悪そうな顔でそう呟いた。
「安心しなよ。少なくともキミが考えてるような事はしてないから、さ」
……そもそも男相手にナニかするような、そんな趣味なんか無いし。
「アンタが俺にしなくても、俺がアンタに何かした、とかは?」
(……疑り深いのか、それとも自分に自信が無いのか…仕方無いなぁ……)
僕は、ふう。と小さく溜息をついて、相手を安心させるために
「大丈夫。なんにも無いって☆」
……と、笑顔で返した。
まあ、これで向こうも少しは納得するだろう、と。
思っていたんだけど、ね(汗)
