
仔犬のすてっぷ
第18章 来訪者たち
・・・・・・・・・。
・・・・・・どうしよう・・・
こんな事に、なるなんて。
まさかの………
蒼空と奈緒ちゃんからのダブルカミングアウト。
三角関係・・・
簡単に言えば、そうだけど……
傍から見れば、女の子が左右に男の子を携えて仲良く歩いているように見えるんだろうけど。
僕の左側からは、仲よく腕を組みながらも、バチバチと火花を散らす二人の男女の、熱意…いや、臨界体制に近い、殺気にも似た気配が伝わって来ていて・・・。
「あ、あの…さぁ……お腹…空かない?」
なんとかこの臨界体制だけでも解除させたくて、僕は話題を振ろうとした。
「ああ……そうだな」
「うん……そうだね」
「ち、近くにラーメン屋無かった?食べて行こうよ」
「ああ……そうだな」
「うん……そうだね」
……だ、駄目だぁ・・・
簡単には、やっぱり解除出来ない…(汗)
ぽつっ・・・
「…あ?」
ぽつ…ぽつっ・・・
「お?」
「あっ?!」
ぽつぽつぽつぽつ・・・
ゴロゴロゴロゴロ・・・
「あ、雨が降って来ちゃった」
奈緒ちゃんが上を見上げるのにつられ
僕は思わず空を見上げた。
ネオンの看板の間から見える重い雲から、雨が落ちてくる。
しかも、雨脚は強くなりそうな気配がした。
「マズイな……こりゃあ、本格的に降ってくるぞ?」
蒼空はそう言いながら僕らを見て
「すぐそこにコンビニがあるから、ソコまで走るぜ?」
そう言って、走り出した。
僕と奈緒ちゃんも、とにかく蒼空について走り出す。
(……よ、良かった……雨のおかげで、とりあえずの危機は回避出来そうだよ…)
あまり雨には良い思い出は無いけれど、僕はこの雨の恵みに感謝した。
