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仔犬のすてっぷ

第13章 優希の傷痕


 薄暗い部屋……

そこに、僕は居る。


・・・ぴちゃん・・・

・・・ぴちゃん・・・・・・

・・・ぴちゃんっ・・・・・・


………何処かで、水が滴る音がする……。


その音は、この場所が狭いからか
部屋中に響いていて、水が何処で音を立てているのかは分からない。



……正直、そんな事は
いつもなら気にもとめないだろうけど。

今の僕が置かれている状況では


それこそ、だれでも、その、どうでもいい事でも気になるはずだった。


今の僕は

目隠しはされてないものの



手、脚を、天井から突き出た金具からのばしたロープで縛られ、固定され。

口は猿轡(さるぐつわ)代わりの手ぬぐいで塞がれ。


全身は裸にされて



いつ、何をされるか判らない、そんな、状態で。

周りで起こる物音に、敏感にならない訳がない。



 僕から少し離れた場所には、
メガネにおさげの少し背の高い女性…サチお姉ちゃんが、こちらは剥き出しの鉄骨の柱に
椅子ごとロープでグルグル巻きに縛られて、さるぐつわをされたまま、座らされていて。


 そこへ、何かを燃やして炎を上げる一斗缶を、台車でゆっくりこちらへ押してくるリカお姉さんと、何かを鼻で歌いながら、それについてくるアケミお姉さんが現れる。


二人が僕の前まで来ると、一斗缶から突き出た鉄の棒を一本……手にしていた布キレをグルグルまきつけてから、抜き出す。

 その棒の先には、真赤に熱された鉄の板があり、アケミお姉さんはそれを見てニヤリと笑うと、


「…コレは私からのプレゼントよ。受け取りなさい」

そう言うと、それを僕の左太ももの内側へ
なんの躊躇いもなく、押し付けた・・・


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