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がーるず・らぶ 里美と結の場合(R18)

第12章 結の記憶


「下校してる時…私の目の前で仔猫が……飛び出して来て、車に……跳ね飛ばされて……
まだ、生きてたのに…私、見てるだけで…怖くて、何も出来なくて……」


 その瞬間を思い出しているのか、結がふるふると震えだした。
 重なっている肌から、それが伝わって来て……思わず私は彼女の頭を優しく撫でてあげた。


「そしたら、先輩が走ってきて。
頭の中で、こんな時、先輩ならあの子を助けてくれるんじゃないかなぁ……って、思った直後だったから、びっくりして」


(ひかれた、仔猫……ああ、そういえば)


 実家で飼っている猫のチャコ。
兄貴に一番懐いていて、何故か私をやたら敵視するツワモノ
……まあ、仕事柄、実家にいる事が多かった兄貴が、チャコの看病してたからなんだけど……
 兄貴にはベタベタくっついて離れない甘々デレデレなのに対し、私には辛辛ツンツン塩対応。
 触ろうものなら、格闘ゲームの必殺技のごとく放たれる猫パンチの雨あられ……
一応、命の恩人だぞ、私。
なのにこの待遇の差は泣ける(笑)


命を救った……そんな事は一回しか無かったし、チャコが生き証人として存在する。だから、その話は間違い無い。



そっか
あの時、結も現場に居たんだ……。


「あの時、先輩はあの子を抱きかかえて、生きてるのを確認して泣いてました。

『良かった。絶対に助かるから、死なないで!』
…って叫びながら、雨の中、傘もささないで……動物病院へ走って行ったんです」


う〜ん。状況までは……あまり覚えてないなぁ……(苦笑)


「あの時の先輩を見たから……
私、本気で好きになったんです」

 潤んだ瞳で私を見つめる結に、また、心拍数が跳ね上がる。
 私としては、全部がそんなに大した事をしたつもりは無いのだけれど。

 それが、この子の負けず嫌いや、なんでも出来る女の子へ変化させたきっかけとなり、そして

結が私を好きになった理由ならば……


私、責任を取ります。


せ、せきにん……


わたしなんかで、ほんとうにいいのかな?

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