
優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第15章 文化祭(後編)
4
いっちゃんのお見舞いに行けたのは、文化祭が終わった3日後のことだった。
一般病棟に移ったいっちゃんは、少しだけ痩せたような気がしたけれど、元気だった。点滴は繋がれているけれど、歩き回って優に怒られているらしい。
「マフィン! 当日のもおいしかったよ!」
病室に入った途端、ベット上で上体を起こしたいっちゃんは、 笑顔でそう言った。その姿に、わたしと由貴くんはほっと胸を撫で下ろす。
病室にお菓子を持ち寄って、お疲れ様会をした。
由貴くんが家で作ってきてくれたクッキーはやっぱりおいしくて、わたしといっちゃんはまたそれに驚く。
「由貴くん、店出しなよ」
由貴くんは照れくさそうに頭をかいて、小さく頷いた。いっちゃんとわたしは顔を見合わせてにっこり笑う。
「俺、高校卒業したら、お菓子の専門学校行きたいんだよね。……いつか、洋菓子店開く。無理、かもしれないけど……」
俯いてしまった由貴くんに、声をかける。
「……できるよ、由貴くんなら」
「そうだよ、今だってこんなに上手なんだから。さっちゃんと、ケーキ買いに行くね!」
「うん、ありがとう」
病室とはいえ、3人でいることに変わりはなくて、家庭科室にいる時と同じような気持ちだった。
いっちゃんのお見舞いに行けたのは、文化祭が終わった3日後のことだった。
一般病棟に移ったいっちゃんは、少しだけ痩せたような気がしたけれど、元気だった。点滴は繋がれているけれど、歩き回って優に怒られているらしい。
「マフィン! 当日のもおいしかったよ!」
病室に入った途端、ベット上で上体を起こしたいっちゃんは、 笑顔でそう言った。その姿に、わたしと由貴くんはほっと胸を撫で下ろす。
病室にお菓子を持ち寄って、お疲れ様会をした。
由貴くんが家で作ってきてくれたクッキーはやっぱりおいしくて、わたしといっちゃんはまたそれに驚く。
「由貴くん、店出しなよ」
由貴くんは照れくさそうに頭をかいて、小さく頷いた。いっちゃんとわたしは顔を見合わせてにっこり笑う。
「俺、高校卒業したら、お菓子の専門学校行きたいんだよね。……いつか、洋菓子店開く。無理、かもしれないけど……」
俯いてしまった由貴くんに、声をかける。
「……できるよ、由貴くんなら」
「そうだよ、今だってこんなに上手なんだから。さっちゃんと、ケーキ買いに行くね!」
「うん、ありがとう」
病室とはいえ、3人でいることに変わりはなくて、家庭科室にいる時と同じような気持ちだった。
