
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第68章 お父さんとお母さん
最初に食べたのはもちろんパンケーキ。
「…パンケーキ美味しい。わたし、これ大好きだった。」
アメリカに住んでた頃、毎日のように食べてたパンケーキのこの味を、わたしの体はしっかり覚えてた。
口に入れた瞬間、あの頃の記憶がよみがえるように、懐かしさが全身に広がっていく。
そして、気づいたら涙が頬を伝ってた。
五母「まぁ!ひなちゃん、どうしたの!?」
お母様の声で自分の涙に気づいて手で拭おうとすると、
「一緒に住んでた頃のこと、ちょっと思い出したか?」
隣に座る五条先生が先に手で拭ってくれた。
五父「思い出すと辛かったかな?」
「いえ、つらくないです。むしろ、うれしいです。わたし、お父様とお母様、五条先生と、本当に暮らしてたんだなって。ちゃんと幸せな時間過ごしてたんだなと思って。本当にうれしいです。ありがとうございます…グスン」
五父「よかったよかった。母さんがスーツケースいっぱいに持ってきた甲斐があったね。笑」
五母「そうでしょ〜?なのに、悠仁ったら大荷物だなんて。」
「だって、いつもの倍以上で来ただろ?」
そうだったんだ。
わたしのためにそんな重い荷物で、はるばるアメリカから来てくれたなんて。
