
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第67章 鉄剤注射
「ハァ……ハァ………ハァ………」
「だいぶ落ち着いてきたかな。そのままゆっくり呼吸しててね。」
と、チェストピースを持つ藤堂先生の手が胸元に滑り込む。
「ひなちゃん、今日はいつもより緊張した?」
「はぃ…」
「そっかそっか。それで少し苦しくなっちゃったね。」
「ごめんなさぃ…」
「なんで謝るの。今日で6回目だし、疲れてきちゃって無理ないからね。ひなちゃんよく頑張ってるよ。そろそろ逃げ出して病院来ないかもって、本当に思ってたから笑。えらいえらい。」
って聴診を終えて、わたしの胸元から手を抜いて、
ぽんぽん…
もう藤堂先生の優しすぎる優しさに、心が温かくなってまた涙がぽろぽろ…
「うぅ……ぅぅっ……グスン」
「もーひなちゃん、せっかく落ち着いたのに…笑。ほら、もう泣かないで。」
と涙が止まるまでずっとそばにいてくれた。
