
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第126章 先生の◯◯
「ふう…。」
木陰にある2人掛けのベンチに腰かける。
「ふふっ。」
「なんだよ。」
「いや、なんか、五条先生もこう、歳を取ってきているんだなって。」
「はあ?」
「どしっと座って、"ふうっ"って言うから。」
「そんくらい言うだろ、誰だって。疲れてんだし。悪かったなじいさんで。」
と、来る途中、院内のカフェに寄って買ったコーヒーを飲む五条先生。
「おじいさんとは言ってないですよ!まだ"よっこいしょ"とは言ってないし。そうじゃなくて、見た目が全然変わらないのに、なんというかちゃんと歳は取ってるんだなって。」
「なんだそりゃ。そりゃ歳は当たり前に取るだろ。ひなだって、あんな小さい子どもだったのにこんな…」
「えっ?」
「いや、なんでもない。」
「え?ちょっとなんですか?」
「なんでもないって。ひなだって大人になったって話。」
本当はなにを言いたかったのか、なんだか誤魔化された気がしながら、わたしは五条先生にカフェで買ってもらったココアを飲む。
すると、
女児「あ!ごじょうせんせい!」
母親と手をつなぐ女の子がわたしたちの前に。
