
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第124章 三度(みたび)
まずは聴診をされてから、心エコー。
工藤先生も藤堂先生も真剣にモニターを見ているのが、目を瞑っていても感じ取れる。
工藤「ん、終わり。タオル取るからちょっと待ってな。」
プローブを置いて、温かいタオルでわたしの胸のジェルを拭き取ってくれてから、
工藤「足りないところあったらこれで拭いて、服直していいぞ。血液検査するから起きるのはまだな。」
新しいタオルをくれて、軽く胸を拭いて服を正して、また仰向けになって採血。
それが終わると椅子に戻って、
工藤「ひなちゃん。もうわかってると思うけど、今から入院な。しばらく治療に専念してもらう。」
と、告げられた。
そして、
工藤「外科の個室、Bの部屋に入ってもらうようにしてあるから、着替えて入院の用意しておいで。」
と、診察のために脱いであった白衣を手渡される。
「研修……どうに……も、ならないですよね…。」
受け取った白衣を、膝の上でクシャッと握る。
工藤「学生のうちはなんとかしてあげられたけど、ひなちゃんはもう医者だから。どうにもしてあげられない。復帰したら研修再開になるけど、いつ復帰出来るのかは何とも言えない。全部、ひなちゃん次第。」
全部、わたし次第…。
仕事に復帰したいのなら、それだけ治療に専念しなさいということだろう。
「はい…。」
この白衣を取りあげられなかったのも、わたしがもう学生でなく、医者に、社会人になったからだ。
さらにくしゃりと白衣を握って立ち上がったわたしは、静かに頭を下げて診察室を出た。
