
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第121章 渡米
…………え?
わたしを呼ぶ声が聞こえた。
ザワザワと異国語が飛び交うこの場所で、リュックに手を突っ込んでスマホを探すわたしの耳に、
"ひな"
わたしの名前だけがはっきりと聞こえてきた。
こんなところで、空耳かもしれない。
でも…
ゆっくりと顔を上げると、
……っ!!
クリクラが中止になって、今日わたしがアメリカへ来ることになったこと。
五条先生には情けないというか悔しいというか、そんな気持ちで話すことができなかった。
突然来て迷惑だろうし、怒られるかもしれないけど、直接会ってから全部話そうと思ってた。
それなのにどうして…
気づけば、3mほど先にあった五条先生の姿は目の前に。
