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だから愛して 「改訂版」

第1章 だから愛して 「改訂版」

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 わたしは、正直に言いますとセックスをしたいと思うときはあります。
 でもそれは、具体的にどの人というのではなく、ぼんやりと憧れるというか、小説の性描写のところを読んだ夜などに、セックスはいいものだろうなと思いまして、してみたいと思うだけです。
 「そんなとき
  あそこを触りますか?
  ああこれはセクハラですね」
 「いえ
  講義のつもりで
  聞きますので
  もっと踏み込んで
  言っていただいても
  かまいません
  わたしは
  あそこに
  触ったことはありません」
 「あそこを触るというか
  オナニーをすることに
  罪悪感を
  持っているんですか?」
 「罪悪感と
  いうほどではありませんが
  嫌だと思ってます」
 「どうして嫌なんですか?」
 「うーん
  どうしてかな」
 「自分で
  性的な気持ちよさを
  感じるというのは
  自分の権利なんですよ」
 「権利ですか」
 「成熟した大人なら
  性欲があるのが
  自然です
  そんなとき
  セックスをする
  相手がいなければ
  自分で性的に
  気持ちよくなるのが
  自然なことですし
  当然の権利なのです」
 「そんなふうに
  考えたことは
  ありませんでした」
 「自分で自分を
  気持ちよくさせる
  というように
  考えてみたらどうでしょう」
 「そうか
  そういうことなんですね」
 「三崎さん
  こんど
  自分で気持ちよく
  なってみてごらんなさい」
 「どういうふうに
  したらいいんでしょうか」
 「私が
  女性の三崎さんに
  そんな
  デリケートなことを
  話しても
  かまいませんか?」
 「はい
  先生が
  面白半分に
  言っているのじゃないのは
  わかりますし
  わたしに
  自分を
  見つめ直してみたらと
  教えてくれているように
  思いますので」

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