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だから愛して 「改訂版」

第1章 だから愛して 「改訂版」

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 三崎さんの小説では、登場する女性には性欲がないように感じられると言うのです。
 結婚した相手とだけセックスをするというのは、夫から求められたときだけセックスをするという感じで、妻の方からセックスを求めるということがないのではないかのように思える。
 それが、自立した女性と言えるだろうか。
 私は、女性にも性欲があるのがあたりまえだと思う。
 女性でも、セックスをしたくなったときに、わたしセックスをしたいと言ってもいいはずです。
 それなのに、三崎さんの小説の中の女性は、結婚した相手に、性的なことでは従属するのが美徳だと思っているように感じる。
 そこのところを、一度よく考えてみてはどうでしょうか、と言ってくれました。
 たしかに、先生の言うような考え方をしていたのかもしれません。
 「でも女性の自立と
  セックスは
  直接結びつくのでしょうか?
  自立した女性は
  フリーセックスのほうが
  いいのでしょうか?」
 「そうではなく
  女性が
  セックスをしたいと
  思ったときには
  セックスを
  してもいいんだ
  ということです」
 先生が話してくれたのは、セックスをするのは、もちろん好きな人であるべきだけど、セックスをするのを、結婚する相手というように限定するのが、おかしいのではないかということです。
 もし好きな人ができて、その人とセックスしたいと思っているのに、その人とは結婚できない状態のとき、その女性がセックスをするのを諦めなければならないというのはおかしい、と言います。
 ましてや、セックスは女性が気持ちよくなるためのものなのに、その女性はセックスの気持ちよさを知らないままなのです。
 それは、理不尽です。
 その女性が、可哀想です。
 「それを
  三崎さんは
  どう思いますか?」
 「そうだと思います」
 でも三崎さんの書いている小説に登場する女性は、そんなときセックスをしない、という選択をする女性のように思えます、と言いました。

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