テキストサイズ

だから愛して 「改訂版」

第1章 だから愛して 「改訂版」

         19

 市民講座が終わってからも、先生は、メールでいろいろアドバイスをしてくれました。
 そのうち、先生の家に行って、アドバイスをしてもらうようになりました。
 わたしは、読んだ人がこの本を読んでよかった、と思ってもらえるような小説が書きたいと、思うようになりました。
 先生は、それはいい目的だと言ってくれました。
 「三崎さん
  目的が
  はっきりしてきたので
  すこし長い小説を
  書いてみませんか」
 「はい
  書きたいです
  書きます」
 夏休みは、小説を書くことに集中しました。
 それでも、十月になってから、やっと書き上げることができました。
 先生に読んでもらうと、
 「よく書きましたね
  頑張りましたね」
 と言ってくれました。
 でも、内容を褒めてはくれませんでした。
 「先生
  どこが
  悪いんでしょうか」
 「この作品のむこうに
  読者がいません
  三崎さんの
  思いを書いているだけ
  という感じです」
 それからは、視点や描写と叙述の違いなどなどの、基礎知識をいろいろ教えてもらいました。
 小村先生と、かなり打ち解けてきたとき、わたしが書いた小説について、詳しく話してくれました。
 いろいろ勉強してきたので、先生の話がよくわかるようになったからだそうです。
 わたしの小説は、女性の書き方がおかしいと言われました。
 小説に、どんなことを書くのかは作者の自由だけど、読んだ人が納得できるものでなければならないと、言ってくれました。
 わたしの小説に出てくる女性は、結婚する相手でなければ、セックスをしてはならないという、考えで書かれていると言います。
 そういう女性もいるだろうけど、その考えの基になっているのが、女性の自立というのを抜きにしてはいないだろうか、と言うのです。
 そして、結婚する相手とだけセックスをするというとき、その女性の性欲をどう考えていますか、と聞かれました。
 わたしは、よくわかりませんと言いました。
 先生が、詳しく話してくれました。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ