テキストサイズ

❇️片暉の残照❇️

第19章 赤と青の欲望


「え――――っと、配られるんですか?私…見たことございません!」



「は?――――…君だって…立派なハジロ公爵令嬢だろ?誰かのリストには…」


コーテルはテイスの発言に疑問を持ちながらチラッと兄であるロミを見た。


すると、ロミはメルトに目配せしリストを机から持ち出すと、コーテルに渡した。


「――――テイスの名は私にもないよ?」



「は?」


コーテルはてっきり、テイスはロミの許嫁リストの先頭にあると思っていたから唖然とする。


「まあ、テイスがリストから外れるのは薄々わかっていたけど――――…」


メルトの発言に「だよね」と、首肯くロミに対してコーテルは「なんで!?」と、納得が行かずリストをテーブルに叩きつけた!


「あ~…コーテル様?私も薄々分かってはいましたよ?この眼帯が理由でしょ?傷のある女性は婚期が遅れるのが世の常だもの」


コーテルは、柔らかく笑うテイスのその姿にギュン!と、胸の奥が締め付けられた!


ストーリーメニュー

TOPTOPへ